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- 物件名
- 長与の家
- 用途
- 住宅
- 所在地
- 長崎県西彼杵郡長与町
- 設計
- class archi
- 施工
- 株式会社 浜松建設
- 構造設計
- きいぷらん
- 構造
- 木造在来工法
- 規模
- 地上2階
- 写真
- 田中克昌
- 竣工
- 2020年4月
計画地は長崎県特有の坂道が多い住宅街の一角にある。それほど広くない敷地に面した道路は意外と交通量が多く、住宅に囲まれた様な圧迫感があった。唯一東側の水路側は住宅2層分ほどの崖に緑が生い茂り自然を感じる事ができた。私たちはまず家族が穏やかな生活を送るため、外部からの視線や喧騒から守る必要があると考えた。 隣家や道路に対して、生活に閉鎖感が生まれない程度に視線をコントロールする為の壁を建て、東側の緑に対して開き、そこにそっと寄棟の大屋根をのせる計画とした。大屋根は囲まれた壁から少し浮かせて掛ける事で、壁に囲まれた圧迫感を緩和し、プライバシーを守りながら開放性を確保できる様にした。守る壁と大屋根で構成された内部空間は緩やかなスキップフロアとなっていて、天井の低い玄関から入り、一度開放的な吹き抜けの土間空間を通った後、奥に見える開口部の光に導かれ進んでいき、1 m 程の階段を上がると東側の自然に向かって広がる開放的なリビングルームにたどり着く。壁の操作による平面的なシークエンスだけでなく、視界のコントロールや上下の移動を促す事で、日常から非日常へ気持ちを切り替ると共に、東側の自然をより強く生活の中に感じられる効果を生み出した。 守る為の壁と大屋根という単純な操作をより明確に示す為に、壁は左官仕上げとして、どっしりとした重い壁として守られている事を意識させ、浮いた大屋根は形状をそのまま室内に持ち込み船底天井とする事で、大屋根の存在を常に感じれる様にした。素材や形状による役割の明確性により、生活者は守られている事を感じながら、安心して自然と共に日々の暮らしを送っている。この建築が家族の成長、暮らしのスタイル、季節の移り変わり、様々な変化を許容し、包み込むような存在になって欲しいと心より願っている。