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- 物件名
- 双棟の家
- 用途
- 専用住宅
- 所在地
- 佐賀県佐賀市
- 設計
- class archi 株式会社
- 施工
- 株式会社 さわやか建設
- 構造設計
- きいぷらん
- 外構
- comodo
- 構造
- 木造在来工法
- 規模
- 地上1階
- 写真
- 田中克昌
- 竣工
- 2020年5月
本計画地は佐賀県の髙木瀬川沿いの自然環境豊かな分譲地の最端に位置している。東面を前面道路、北面・西面を住宅に囲まれているもの の、幸運にも南側には水と平野に囲まれた佐賀を象徴するような田園風景がどこまでも続いていた。クライアントは若い夫婦と2人の子供の4人家族である。自然環境豊かな地域と、この敷地の持つ圧倒的な風景に惚れ込んでいた。分譲地と田園風景という相反する強いコントラストを持つ敷地である。この建築は田園風景に向かって妻面を伸ばした二棟の大屋根をそっと架ける事で形づくられている。このシンプルな操作によって住宅に囲まれていることを忘れさせ圧倒的な風景に身を委ねられる様な建築を考えた。平面構成は敷地東道路側に玄関や居間、食堂などの家族が集う場所を配置し、西側には主寝室や子供室、サニタリーなどのプライベート空間を配置した。性格の異なる2つのボリュームをそれぞれに大屋根が覆う。寄り添う大屋根の間にデッキや和室、中庭を緩衝空間として差し込んだ。 断面構成は居間・食堂、デッキをその他の部分をから70cm上げ玄関から居間に向かって緩やかにスロープで登る計画とした。 風景に向かって伸びてゆく切妻屋根と登り梁の反復は風景への連続性を高め、登るという行為によって視線が風景へ誘導されてゆく。床のレベル差を階段ではなくスロープによって連続させることで集う空間とプライベート空間とを明確に分断するのではなく、程よい距離感と建築全体がシームレスに繋がる一体感を生み出している。 「集う・食う・寝る」という生活の営みが2つの屋根と共に寄り添い合い、その軸線は連綿と続く風景に溶けてゆく。これから紡がれていく家族の暮らしがこの土地と建築ともにありつづけ、変わらぬ田園風景に刻まれてゆくことを願う。